黒魔女の羽衣(Witch's Shroud)
かつてグリダニア周辺の空域で同じような現象による飛空艇の事故が定期的に起こっていた。複数の事故の生存者の話しではまるで物の下に敷いた布を勢いよく引き抜いた時のように、下から飛空艇の艇底を引っ張るような力が加わり、飛空艇が回転し、制御不能に陥いるのだと口をそろえて証言した。この事により当時は森に隠れ住む黒魔女が飛び去る際にその魔女の纏う羽衣が飛空艇に引っ掛かり、飛空艇を回転させたのだとまことしやかに囁かれた。これによりこの現象は「黒魔女の羽衣」と呼ばれるようになった。
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しかしグリダニア政府が調査したところ、それ等の事故は自然現象によるものだと判明した。生物は体感できないがエーテルにも水や大気と同じようにその種類や濃淡で密度が違ったり、その濃度を平均化しようとする作用があるのだという。その作用によってエーテルは空気中を風や海流のように緩く、時には早く漂い流れているのだという。黒衣森はもともと精霊の力が強大で、濃度の高い環境エーテルが豊富なため、稀に上空に濃度の薄いエーテルが流れ込んだりすると樹冠付近ではエーテル濃度差が生み出す激しい乱気流が発生する。これは黒衣森特有の気象現象で、多くの飛空艇乗りの命を奪ってきたという。
現在は樹冠付近を飛行すること自体をグリダニア幻術皇が禁じているため、近年「黒魔女の羽衣」を原因とする飛空艇の事故はほとんど起きてはいないが、未だに飛空艇乗りの中には黒衣森周辺を飛ぶことを嫌がるものが多い。